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2.経営計画の作り方は?

<1>長期経営計画の作成

 長期経営計画とは、経営者がお持ちの夢を文章と数字に置き換えたものということができるでしょう。夢には様々なものがありそのすべてを長期経営計画に盛り込む必要はありません。夢のうち、おおむね10年以内に達成可能と思われることを盛り込むことがポイントになります。即ち長期経営計画とは、経営に関する10年計画ということができるでしょう。
 それでは、長期経営計画は具体的にどのように決めていったらよいのでょう。
 それは、通常次のようにして決めていくことになります。

(1) 10年後に営業している業種を決めます。
 今と同じ業種でしょうか、それとも別な業種に転換しているでしょうか。時代は激しく流れています。その中でその業種は日本の経済社会の中にあってどのような地位を占めていると予想できるでしょうか。たぶん国際的な影響も考えら含めなければならないのかもしれません。10年後を予想することは非常に難しいことですが、考えてみて下さい。そして一定の仮定をあなたなりに立ててみて下さい。10年後の業界を予想することが難しければ難しいほど、ここで考えたことは今後の会社の舵取りに将来大きく役に立つことになると思います。

(2) 10年後の売上高を決めます。
 (1)で決めた業種での売上はどのくらいになっているでしょうか。もちろんこれも夢で結構です。ただし、この後でいくつかのポイントを検討した後でまた修正することもできます。とりあえず気楽に目標を決めて下さい。

(3) その売上高を達成するために必要な従業員数を決めます。
 これは、従業員1人当たり売上をいくらに見積もるかにかかってきます。同じ製品を販売している予定なら、現在の従業員1人当たり売上に、当然営業効率の向上、製造工程の革新機械化の進展、販売単価の上昇等を見込むことになります。販売製品に変化があればその粗利率に応じて算定します。即ち、粗利率が2倍ある製品は1人当たり売上が2分の1でも採算が合う可能性があるということです。

(4) その売上高を達成するために必要な営業拠点数を決めます。
 業種によっては、1カ所で販売できる量には限界があるため、売上増大には営業所を増加させなければならない場合があるでしょう。そのような場合、過去のデータなどで、必要とされる営業拠点数を見積もります。

(5) その売上高に達成するために必要な製造設備又は仕入れルートを決めます。
 製造業の場合、製造設備の増設が必要になるかもしれません。技術革新や量産効果を見込んだところで必要な設備投資額を見積もります。また、必要な仕入れが今のルートでまた今の単価で可能かどうかも検討する必要があります。

(6) その売上高な見合う資産の総額と必要な自己資金額を決めます。
 (1)−(5)まで検討したところで、10年後の貸借対照表を簡単に作ってみて下さい。まず流動資産は、業種や取引形態が大きく変わらなければ売上に比例して大きくなっていると見ていいでしょう。即ち売上が5倍になっているとすれば流動資産も5倍になっているはずです。
 次に固定資産です。これは少し細かい検討が必要です。設備投資や、店舗拡充の投資を見積もって算定して下さい。もし見当がつかなければ、一応売上に比例して大きくなっているとみてもいいでしょう。
 次に負債の検討に入ります。負債の部は、借入金を除いて、業種や取引形態が大きく変われなければこれも売上に比例して大きくなっていると身といいでしょう。
 借入金の検討は後回しにして、自己資本を先に検討します。自己資本は、資産合計の50%を目標とすることをお勧めします。即ち現在の自己資本比率が20%なら10年後までに30%アップさせることになります。
 さて残りが借入金です。この借入金の調達も一つのポイントになります。

(7) 10年間の各年ごとの利益目標を作成する。
 さて、これで10年後のゴールが見えました。いよいよそのゴールに至る道筋をつける作業です。
 まず利益目標ですが、(6)で決めた自己資本の増加額を各年ごとに割り振る作業から始めます。均等に割り振っても、だんだん増えるように割り振ってもかまいません。結果として税引後純利益の10年間のトータルが自己資本の増加額と一致するようにします。

(8) 10年間の各年ごとの損益計算書を作成する。
 やり方は、基本的には(1)−(7)で検討したことを各年ごとにやることになります。もしその段階で実行不可能であることが判明したらもう一度最初から練り直すことです。もちろん簡単にあきらめずに、工夫をし、また希望的観測で計画を立てることは全く差し支えないことです。その場合忘れてはならないのは、そのような計画をした根拠です。希望的観測にしても一定の根拠があればその計画が実現できるように研究をし、また動くことが可能になるからです。


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